共生社会の実現をめざして

差別的な取り扱いを禁止し、共生社会の実現を目的とした障害者差別解消法の施行から2年、社会はどう変わったのでしょうか。

わたしたちは実態を知りたいとアンケートをおこないました。

法律を知っていた人は58%ですが、肝である「合理的配慮」について知っていた人は、わずか10%でした。また、80%の人が日頃の生活で障がい者への差別を感じていると答えました。法律があることを知っていても、障がい者だけが対象で、自分とは直接関係ない、と感じている人もいました。

法律の成立に関わった当事者である尾上浩二さんは、合理的配慮について、次のように話しています。

・「障がい」は誰にでもある。

・階段が無くては、どんな人も2階に上がれない。

・健常者は、階段を設置すると上がれる。

・車いすの人は、エレベーターを設置すれば上がれる。

つまり、合理的配慮は特別扱いすることではなく、だれもが活動したり楽しんだりするための必要な調整であり、権利なのです

区は合理的配慮について、「障がい者の求める配慮に可能な限り対応し、障がい者に理解してもらう」と言っています。障がい者の個別の求めに応じることは大切です。しかし、それだけでは社会全体が自分のこととして障がいや合理的配慮について考えることにならず、差別解消にはつながりません。

自治体には、地域全体が差別解消に向けて動きだすための積極的なはたらきかけが求められます。社会が変わるための共通認識として、障がいを理由とした差別を禁止する条例の制定を求めていきます。