自殺対策先進区を訪ねて

足立区の自殺対策担当課である 衛生部 こころとからだの健康づくり課課長は、自らが出演するDVDを上映し、説明を始めました。

「担当していた区民がある日庁舎に挨拶に来た。その後その方が自死されたことを知った。悩んでいたことを気づけなかった」

ショキングな内容でしたが、担当者の真剣さが伝わってきました。

 足立区は2006年、自殺者数が23区内で最多となったことで、対策に本腰を入れるようになります。2009年にはNPO法人自殺対策支援センターライフリンクと協定を締結し「自殺で亡くなる前になんらかの相談機関を訪門している人が73%」「自殺に至る要因を4つ以上抱えている」などがわかってきました。

今年3月「足立区の『生きる支援』自殺対策計画」を公表、「気づく つながる いのちを守る」をキャッチフレーズに「生きる支援として」自殺対策に取り組むとしています。

基本施策(1)自殺対策の人材を育成

気づくでは、初級ゲートキーパーの研修=自殺のサインに気づくことを目指す研修

つながるでは、中級ゲートキーパー研修=傾聴しつなげることを目指す研修

いのちを守るでは⇒適切な窓口を紹介し、連携していのちを守ることを目指す研修

子どもの命を守る=区内小中学校教員向けゲートキーパー研修

基本施策はほかに

(2)当事者への支援

(3)地域におけるネットワークの強化

(4)区民への啓発と周知

重点施策には

(1)孤立した高齢者への支援

(2)生活困窮者への支援

(3)中高年女性への支援

(4)妊娠期から産後1年までの女性への支援

(5)生きづらさを抱えた若者の支援

庁内での取り組みで注目したのは「つなぐ」です。複数の機関で連携して支援するために、できるかぎりのりしろのあるつなぎができるよう、主に以下の3つの方法でつないでいます。

ア 次の窓口を紹介する

イ 共通相談概要・紹介票であるつなぐシートでつなぐ

ウ 寄り添い支援事業でつなぐ⇒気力がなかったり、気分が落ち込んでいる等で一人で相談先の窓口に出かけることも難しくなっていて、複数の問題を抱えて、その相談内容を的確に説明することができなくなっている場合、生活困窮者支援事業の寄り添い支援をおこなうパーソナルサポート(PS)か関わり、必要な機関につなぎます。

若者むけの支援として、足立区内でグーグルで「死」や「自殺」などの言葉を検索すると、相談機関への電話番号が表示されます。若者世代のネットと関わりでの支援のしくみであり、さまざまな年代の悩みを持つ人がためらわずに相談できるように、と区の意気込みが伝わってきました。

昨年自殺対策基本法が改正され、自治体に地域の実情に合せた自殺対策計画作りを義務づけ、練馬区でも、7月5日の健康福祉委員会で今年度中に計画を作成する、と報告されました。

今回自殺対策先進区である足立区を視察し、学んだことを練馬区の計画作成でも参考とするようにさらに議会で発言していきます。

 

足立区の自殺対策の特徴のひとつに自殺未遂者と家族支援があります。写真は自殺で家族を亡くされた家族のつどいの案内です。