認知症患者と生きる~スーパー嫁のいる人は一握り
『お義母さん!トイレはこっちです スーパー嫁の汗と笑いの在宅介護』(バニラファッジ著 2013年発行)を読みました。
「7人家族の真ん中で」の人気ブロガーである著者は、この本で認知症の義母とその妹さんとの同居生活を書いています。「嫁」という第三者だからこそ、在宅介護を担える。お義母さんと妹には経済力があるため、周囲の協力を得て続けられている、と家族介護の課題が描かれています。姑の認知症症状を「フェアリー」と呼び、悲惨さだけでなく「笑い」や家族との会話など、「そうそう、あるある」と頷きながら楽しめました。
経済的に保証され、かつ「嫁」に期待された役割を果たす人がいる。実際にはスーパーな嫁の介護を受けられるなんて、ほんの一握りの人でしょう。
認知症患者の介護に必要なものは、一人で抱え込まないでいられる経済の保証・家族の理解がありますが、実はこの本の最後には、お子さんに宛て「自分が認知症になり、食事を食べたか忘れるようになった時には、施設に入れて欲しい」と書かれています。介護をしている当事者の正直な思いです。
厚生労働省は全国で認知症の患者が、2025年には700万人を超えると推計、増加する認知症患者に対応するため、新オレンジプランを公表しました。新オレンジプランが実際に認知症患者の家族の負担を軽くし、一人ひとりに寄り添った施策となっているか検証する必要があります。
実際の介護者支援は、それぞれの自治体の姿勢が問われ、孤独な介護にならないためには地域での支援こそ大切です。働きながら介護をする人、男性介護者、あるいは高齢者同士の介護で疲れ、介護うつになる家族も増えています。
介護する人が悩みを打ち明けたり、相談できる機会や場所が求められます。区内でも「認知症カフェ」など試みが始まっていますが、そうした場所を地域に増やし継続して運営できるように、自治体は地域支援をおこなうべきです。
認知症患者と家族に対する支援の充実に向けて働きかけます。