区長の就任挨拶に違和感

2018年4月24日 10時01分 | カテゴリー: 活動報告

4月15日の練馬区長選挙で当選(再選)し、第19代練馬区長に就任する前川 燿男(まえかわ あきお)氏(72歳)が、17日区役所に初登庁しました。

前川燿男区長は、就任挨拶で「区政を『参加と協働』から、『参加から協働へ』と、変えなければいけない。

例えばコンビニを認知症高齢者の見守り拠点として活用する仕組み、みどりの区民会議を通じたみどりの保全・創出の新しい手法、街かどケアカフェ、はつらつシニアクラブの多様化を進めるなど、新たな取組みに着手しております。こうした取組みを、区政の広範な分野において進めていかなければならない。皆さんと一体になって取り組んでいきたい。」

「新しい政策の展開、区政運営の改革、区民の皆様の参加と協働、全てにおいて23区の先頭を切って走る自治体を実現したい。新しい大都市自治の先頭を切って走る自治体になりたい。」(HPより抜粋)と抱負を述べました。区長挨拶の「参加から協働」の言葉に違和感を持ちました。

協働とは対等な対場でともに働くことですが、行政とNPOなど市民と行政が、対等な立場でまちづくりなどの共通の目的のために協力していくことです。

練馬区は今年3月、N-impro(ニンプロ)の完成発表、体験会を開催しています。

【N-impro(ニンプロ)とは】 「認知症かどうか分からないけど、言動が気になる方にどう対応し たらいいのだろう?」など、日頃からお客さんと接するコンビニエン スストアの店長や店員の立場となり、認知症の方との対応で、判断が 難しいシチュエーションを想定した、みんなで考えるカードゲーム形 式の研修。 コンビニエンスストアへの聞き取り調査等により、実際に起こった 事例を収集・分析し、開発した。

【参考】「ねりまコンビニ協働プロジェクト」について 東京大学大学院高齢者在宅長期ケア看護学チーム(代表:五十嵐講師)、区内で認知症グ ループホームを経営する事業者、区内コンビニエンスストア経営者、練馬区が協働し、昨 年 8 月から取り組む。

【参考】「地域おこしプロジェクト」について 区民の自由な発想で未来に向けた練馬の発展につながる取り組みを、区と協働で実施する事業。今年度は 3 団体を選定し、補助金の交付(年 100 万円)や、区の若手職員派遣等により支援。

この「協働プロジェクト」の協働のパートナーとはだれでしょうか?地域おこしプロジェクトの区民の自由な発想とは、どのことを指すのでしょうか?この事業は、参考に有るように練馬区のはたらきかけで、予算をつけ始まったことです。区民の自由な発想を待って、それを応援しているしくみでもありません。ここでの区内の協働のパートナーは、コンビニでしょう。コンビ二は店の経営をそれぞれのオーナーが担い、横の連携ができている組織ではなく、団体が組織されている訳ではありません。

本来、認知症高齢者の発見と支援につなげるためには、全高齢者への一斉対面などを区が責任を持って早急におこなうべきです。

ところが地域で尋ねると、「区の職員が地域での福祉的なネットワークづくりに取り組んだが、地域を知らないため、やりきれなかった。結局、練馬社会福祉協議会がおこなった。」など、区の職員が現場を知らないことの実例を聞きます。ここでのプログラムの開発は、区職員が現状を誰かに任せるためです。高齢化のすすむなか、区長が言うように、「区政の広範な分野において進めていかなければならない」のでしょうか?

全てのコンビ二の運営状況を知りませんが、コンビニでは経営を親会社にきびしく管理され、オーナー以外は、ほとんどアルバイトです。厳しい職場にいる人たちに「認知症高齢者の見守り拠点」としても、負担が増すばかりではないでしょうか?

この事業は、区の集め切れない情報を代わりに集めることを「絶対やって欲しい」とは強制できず、善意をあてにして一部のコンビニでしか実施できない穴だらけのしくみです。本来委託するなら委託すると、しっかり予算をつけるところを、惜しんでいるとしか考えられません。区長は命にかかわることを「協働」として、安く区政に協力してもらうと勘違いしているのではないでしょうか?

練馬区は高齢化がすすむ中で必要な「地域コミュニティづくり」を、西大泉地域などで職員を配置して取り組みましたが、途中でやめてしまいました。

厚労省は高齢者の地域生活支援である「地域包括ケアシステム」の圏域(けんいき)を「中学校区ほどの歩いていける範囲」と説明しているのに、区は大きすぎる「区内は4圏域とする」と言い張り、地域の調査もこの4圏域単位でしかおこなっていません。本来取り組むべき地域ごとの特性を明らかにせず、認知症高齢者の発見と支援につなげるための全高齢者への一斉対面などはしない、とお金と人を惜しんでいるのに、区長が協働として「やっている」「さらにすすめる」とするのは、乱暴です。

さらに区長は、「全てにおいて23区の先頭を切って走る自治体を実現したい。新しい大都市自治の先頭を切って走る自治体になりたい。」と述べましたが、先頭を意識するほど、無理をおこなうのは、これまでの70周年記念事業キャンペーンムービーなどでの現区長の実績です。効果を狙いすぎて周囲への配慮が欠けるのではないか、と心配になります。

そして区長の述べる「自治」とは?

区長選の投票率が3割に終わったことを冷静に考えるべきでしょう。むしろ、いまの区政に「自治」が見えないからこそ、今回の選挙の低投票率をまねいたのではないでしょうか?

再選によって継続した前川区政を、今後も注視していきます。