交通対策等特別委員会 視察報告

2017年12月22日 19時16分 | カテゴリー: 活動報告

交通対策等特別委員会で福岡市を視察(11月13日~14日)しました。以下報告です。

1、11月13日 西鉄天神大牟田線連続立体交差事業について

(概要)

雑餉隈駅周辺では、高架化のための基礎工事がおこなわれていた。

事業対象は約1.86キロメートル、事業費340億円と見込む。工期は2010年度から2023年度。立体交差道路11箇所となる。

西鉄大牟田線の雑餉隈駅(ざっしょのくまえき)付近は福岡市南部の地域拠点であり、踏み切り遮断による交通渋滞や事故に悩んでいた。また、福岡県が連接県において連続立体交差事業を先行着手していたこともあり、市は2008年度に連続立体交差事業を都市計画決定し、2010年度に認可を受け事業に着手した。

北側0.62キロメートル区間では仮線方式(線路脇の用地に仮線路を移設したあと高架橋を建設)雑餉隈駅付近から南側の区間は、直上方式(線路の上に直接高架橋を建設)を採用し高架化が進められる。そのほか雑餉隈駅本体の高架化や路線経橋を平面道路にして鉄道を上で通す、逆立体交差など、さまざまな工事が計画されている。

また、北側南側に側道が整備されることになった。現在雑餉隈駅の仮駅舎化や将来の高架化の基礎及び柱の工事、また直上方式の区間および仮線路方式区間において高架橋整備工事が進められている。本事業で7ヶ所の踏切が撤去され、さらに鉄道事業者の全額負担による新駅の整備も行われ、鉄道で分断されていた地域の一体化が図られるとする。

(所感)

福岡県の連続立体工事と同時期にすすむようにと、市長の肝いりですすめた事業とのこと。さまざまな技術や工法を用いるが、特に2018年度からは一日あたり21,500台と通行量の多い「筑紫通り」を片側一車線として、仮設道路道路切り替え工事をおこなう予定である。その後の地域の発展のためとするが、市民生活に影響は必至であり、さらに新駅を増設することで、空き店舗が見られた雑餉隈駅周辺の人の流れが変わることが予想される。新駅予定地には、西鉄バスの発着所が近く、将来は新駅がまちの中心となると思われる。従来の住民はどのように考えているのか心配だ。

 

2、11月14日 地下鉄七隈線延伸事業について

(概要)

陥没事故のあった交差点。博多駅の目の前にあり、交通量の多い場所。事故後周辺の建物の地盤沈下報告はなかったとはいうが、重大な事故だったことを改めて実感した。

総工費587億円、1.4キロメートル。天神南駅から博多駅を結ぶ。新規利用を2.3万人として乗車人数は8.2万人と見込む。開通は2022年度。福岡市は2005年に橋本駅から天神南駅間の地下鉄七隈線を開業した。その後費用対効果や事業採算性が高く、市西南部と博多駅や福岡空港へのアクセス向上がさらに図られるとして、本事業への着手に至った。新駅整備もおこなう。

現在は新駅整備予定地は開削工法により工事を進めている。掘削箇所は覆工板をかけて交通機能を確保しながら、駅空間の構築をおこなっている。また、線路部分は、中間駅周辺をシールド工法で、博多駅周辺をナトム工法で工事をすすめている。

博多駅周辺でナトム工法により工事をすすめていたエリアでは、昨年11月に道路陥没事故が起き、工事が中断している。事故現場は直ちに陥没箇所を埋め戻して道路を復旧させ、現在は高精度な機械により常時監視をおこない、わずかな地面の変化も察知する態勢を整えている。市では事故原因について、事前調査により施工の基準は満たしたものの、岩盤の状態にバラつきが多かったこと、地中に局所的に亀裂があった可能性が高いことをあげており、今後も安全を最優先に考え、あらためて地質調査をおこなったうえで工事を再開することにしている。

 

地下鉄七隈線延伸工事に伴う道路陥没事故について(福岡市)

陥没事故を報じる記事

※ナトム工法とは→トンネルは地圧(土や岩盤の圧力)が高くなるほど崩壊する危険性が高まる。従来の山岳トンネルにおいては、トンネル壁面に骨組みとなる支保工を作り、矢板という木板や鉄板を壁面にあてがい、分厚いコンクリートを塗り、壁のアーチによってトンネルを支えるのが基本であった。しかし矢板が年月とともに腐食し、コンクリートにひびを生じさせ剥落を起こす可能性がある。ナトム工法においては、逆にこの地圧を利用して周囲の地層を一体のものとしてトンネルの強度を得る。ナトム工法は、掘削した部分を素早く吹き付けコンクリートで固め、ロックボルト(岩盤とコンクリートとを固定する特殊なボルト)を岩盤奥深くにまで打ち込むことにより、地山自体の保持力を利用してトンネルを保持する工法。当初は固い岩盤を持つ山岳でのトンネル施工に用いられていたが、現在では多種の関連工法と併せて軟弱地盤や都市部においても用いられるようになっている。

(所感)

練馬区で外環道地下部分建設では、シールドマシン工法がとられている。地盤調査をして基準を満たしても、地盤はそれぞれの箇所で状態が変わるので、精度の高い確認が必要だ。さらに福岡市では、陥没事故が起きてから自治体への連絡が遅れた。緊急時の連絡や対処で自治体の姿勢が問われる。練馬区では外環建設の周辺住民から、住民避難計画を求める陳情が提出されている。調布市では採択されたが、区は「避難計画の作成」を検討すべきだ。

※シールドマシン工法とは→シールドマシンを地下へ運び発進させるために開削によって立坑(縦穴)が掘削・構築され、坑内に発進設備が収められ、基地が作られる。シールドマシンは工事現場に搬入される前に分割され、運搬される。工事現場の発進基地に運ばれたシールドマシンは、大型のクレーンによって立坑下に下ろされ、再度、組み立てられる。マシン先端はカッターヘッドという回転する面板となっており、ここにおろし金のような細かい刃やローラーカッターが円周状・放射状に多く配置されている。シールドマシンを前進させ、壁面は分割されたブロック(「セグメント」)を組み上げて構築する。軟弱地盤でも掘り進むことができる、というのが最大の特徴で、水底トンネルの掘削に活躍した。深度化に伴い、最近の地下鉄、道路などのトンネル工事では、シールドトンネルが多く採用されている。

 

(視察を終えて)

今回の視察は都市化による利便性、快適性を図る工事だった。今そこに住む住民への配慮や、安全面での技術が求められる。他方では、鉄道路線の廃止される場所もある。地方は生き残りをかけて都市化をすすめるが、本当の快適性とは何か、豊かな暮らしとは何か、開発とはどうあるべきか、考えていきたい。